決して消えない愛の炎と称えられ
過去から未来へ、人を魅了してやまないダイヤモンド。
そこには、かけがえのないしあわせが輝く。
永遠を想いあう、ふたりの物語とともに。
婚約指輪のはじまりは2千年前
婚約の証として贈られるエンゲージリングの歴史は、古代ローマまでさかのぼります。弥生時代にはもうエンゲージリングが存在していたのです。当時は、男性が女性に結婚を申し込み承諾の意思が確認されると、エンゲージメント(ENGAGEMENT=契約)が成立した証としてエンゲージリング(婚約指輪)を贈りました。リングは永遠の愛を象徴すると同時に、契約の意味もありました。
愛の証に用いられたドラマチックなリングも、はじめは何の飾りもない鉄の輪でした。ゴールドが使われるようになるのは、それから200年ほど後のこと。その後、リングを贈る習慣はキリスト教徒によって継承され、結婚式で重要な役割を演じるようになりました。
リングを左手の薬指にはめる習わしも受け継がれています。ルーツをひもとくと、左手の薬指は心臓と直接つながっているという古代エジプトで生まれた信仰があり、時代も場所も超えて残されているのです。
恋の力が生んだ煌めき
有史以来ダイヤモンドは、なにものにも侵されない強靱さから「お守り」として重用され、兵士の護符として、剣の柄(つか)や盾の飾りにも使われていました。しかし、硬すぎて誰も研磨することができず、光りも放たないことから、美しいと呼ばれることはありませんでした。
そんなダイヤモンドを美しく磨いたのは、男の恋心でした。1456年、オランダ人のベルケムがダイヤの粉で磨くことを思いつきました。ベルケムは腕のいい宝石職人でしたが、貧しく、足も悪かったといいます。彼は雇い主の娘に恋をして、妻にと願います。雇い主は彼の腕を惜しんでむげにも断れず、「もし、ダイヤを磨くことができたら」と無理難題を持ちかけました。ところが、「恋のなせる力」か、ベルケムは思いつくのです。地上で最も硬い鉱物は、地上で最も硬い鉱物で磨けばよいのだと。
恋は実り、それまで「不屈の硬さ」でたたえられていたダイヤモンドは、「不滅の輝き」という「至福の煌めき」も授けられたのでした。
エンゲージの主役へ
中世ヨーロッパでは宝石のついたリングが婚礼に使われるようになり、15世紀には火にも鋼鉄にも負けないダイヤモンドが夫婦の愛と誠実の象徴とされ、婚礼の儀式にも使われ始めました。そして、史実に初めてダイヤモンドのエンゲージリングが登場したのは1477年。後に神聖ローマ帝国皇帝となるマキシミリアン大公がブルゴーニュ公女マリーに贈ったリングといわれています。
円環(リング)が永遠の象徴であれば、ダイヤモンドもまた永久不滅の象徴。それまで主流だったルビーやサファイアにかわり、永遠を誓うダイヤモンドの時代が幕を開けました。